秘書検定の雑学

秘書検定ができた経緯は?

秘書検定の歴史は古く、現在の秘書検定の元となったのは、昭和47年から行われていた文部省認定OL職業技能検定というものです。
文字通り、OLとしての技能検定の意味合いで行われていました。そして、年々受験者が増加していき現在のような秘書検定となりました。
なお、2006年の認定制度の廃止により、現在は文部科学省後援試験という位置づけになっています。文科省の後援試験であるため、公的資格とされることもあります。

秘書検定の試験内容について

秘書検定は毎年3回開催され、学歴・年齢・性別国籍など関係なく、受験資格もないのでどなたでも受けていただくことが可能な試験です。
試験地は全国にあり、毎回7、8万人が受験します。秘書検定をお持ちの方はのべ250万人ほどに上ると言われています。受験者は女性が多く、就職・転職に活かすために取得を目指す方が多いので、10代、20代、30代といった比較的若い世代に人気の資格となっています。
受験料は3級が2,600円、2級が3,800円で、級が上がるごとに受験料も高くなります。準1級と1級には面接試験もあり、業務知識だけでなく立ち居振る舞いや言葉遣いなども厳しくチェックされます。
筆記試験はマーク形式と記述形式の両方があります。筆記試験の内容は「理論」と「実技」に分けられ、それぞれで60%以上の正答が求められます。合否通知は所定の日付までに(だいたい1ヶ月以内)普通郵便で郵送されます。

秘書検定2級と3級の違いとは?

秘書検定を目指す上で、まず悩むところが「何級から受けようか」という点だと思います。秘書検定は受験資格がないので、どの級からでもチャレンジが可能です。特に2級と3級はいずれも筆記試験のみなので、実務経験がない方にも挑戦しやすいでしょう。
2級と3級は、出題形式(択一式と記述式)が同じである他、その出題割合も同じ(択一式9割、記述式1割)です。また、出題範囲も同じです。そのため、合わせて勉強することも可能なので、お金に余裕があればW受験を目指すのもお勧めです。
したがって、2つの級の違いは、その試験内容の難易度のみとなります。実施団体が発表している「秘書技能審査基準」によると、3級では初歩的な秘書業務に関する設問が多いのに対し、2級では一般的な秘書業務に関する設問となっています。
一般的に受験者が多いのは2級です。実務経験者は2級から受験をする方が多いようです。ご自身のレベルがどちらに近いか、過去問などを見て検討するのもいいかと思います。

秘書の歴史

秘書という言葉が最初に使われたのは、中国の漢書であったとされています。
しかし、ここでいう「秘書」とは宮中にある蔵書のことでした。日本でも平安時代には「秘書」という言葉が登場しましたが、人に見せない書物、秘密の書といった意味合いで使われていました。
職業名として、またその職に就く人を「秘書」と言うようになったのは、それからかなり先のこと。明治中期に金融機関でそういった表記が採用されてからという説が濃厚です。
実際に人々の間に「秘書」という名前が浸透し定着したのは大正時代と言われています。

秘書の英訳

日本でいう秘書という業務を英訳するには、アシスタントというのが適切な場合が多いように思います。
よく英語の授業などでは「秘書」の英訳として、セクレタリーという単語が登場しますが、英語でいうセクレタリーというイメージでは、取締役クラスのことを指しますので、セクレタリーと言うと、事務局長とかそういった意味合いになります。

そもそも秘書とは?

企業の代表や役員、医師、弁護士、大学教授など、さまざまな職種の方が秘書を持っています。
秘書とは、例えば社長など企業経営において重責を担う方や、研究者などの「要人」の身の回りのサポートをすることで、「要人」がご自身の業務のみに専念できる環境を提供するためのお仕事です。
一般的な仕事内容としては、スケジュール調整、メールや郵送物の点検・管理、電話対応、コピーや書類作成、その他の雑務などありとあらゆる身の回りのお世話をします。
企業によっては、担当の方の昼食の買い出しや、ボタンつけなども行う「よろず屋」のような役割も果たしています。

けど、時には経営者に大きな影響を与えられるポジションでもあることをお忘れなく。

どんな人が向いているのか?

①最低限の知識とマナーの備わった人
秘書は、場合によっては要人に代わって客人との電話に出たり、応接で応対したりということもあるので、最低限のビジネスマナーを身につけていることが当然となります。
秘書の恥はその担当する要人の恥ともなり得ますので、所作には常に気を配る必要があります。とは言え、そこまで難しく考える必要もありません。
明るくテキパキと挨拶をして回り、失礼のないように振る舞えれば大丈夫です。秘書検定を持っていなくても、もちろん秘書業務に就くことは可能ですが、検定で学ぶ内容を知っておくと、基礎的なビジネスマナーや知識が身に付き、自信を持って振る舞うことができるでしょう。
②気配り上手
気配りができるかという点もポイントになります。忙しい方に代わって自分が今できることは何なのか。自分が担当する要人の立場に立って、今どんなサポートを欲しているのかというのを考えて、自分で動くことができる頭の回転の速さと順応性があると良いでしょう。
出張や外出が多かったり、世界中を飛び回っている要人に帯同せず、秘書は社内に留まって要人の不在の間の留守を預かることもあるかと思います。
そんな時は、逐一「●●の件は、どうしたら良いでしょうか?」と電話で聞くわけにもいきません。そういった時に、考えて動く力が試されるのです。
③不測の事態にも動じない人
また、例えば天候の都合やビジネス上の理由で、例えば要人が予定していた飛行機に乗れない…といった、予期せぬトラブルが起こることも。そんな時、秘書は決して動じることなく新幹線移動などの代替手段を調べたり、アポイントの時間を調整していただくための連絡をしたりといった、臨機応変な対応が求められます。
秘書の場合、マニュアル通りに動くといったことはほとんどなく、ついた担当者に合わせて最適な行動をするよう心がける必要があります。それが出来るかどうかは、秘書の能力ももちろんありますが、それだけではなく長年のカンによる部分も多いように思います。

秘書の1日のスケジュール例

ある企業の秘書として働くAさんの1日の仕事をまとめました。こちらを参考に、ご自身が秘書として働かれるイメージを膨らませてみてください。

8:00 出社
   担当役員の部屋の換気、水やり、簡単な掃除など環境を整える。
   朝会議のある日は資料をデスクに置いておく。

8:20 秘書室ミーティング
   担当役員のスケジュール報告や秘書内での情報共有など

8:40 メールチェック

9:00 担当役員出社
   ・本日のスケジュールの伝達、仕事の依頼を受ける
   ・午後の会議資料に訂正があり、コピーと製本の依頼
   ・お取引先様に不幸があった為、弔電を打つ
   ・電話応対など

9:30 担当役員宛てにクライアント様が来社
   応接へのアテンド
   商談中、役員宛ての電話の応対や会議資料の準備などをする

11:00 商談終了
    担当役員に応接中に掛かってきた電話2件のご報告
   役員よりクライアントあてのビジネスレター発送の依頼を受ける

12:00 担当役員、ランチのため離席
    Aさんは秘書室にてお弁当
    役員のデスクに朝依頼された訂正済み資料のコピーを置いておいた

13:00 役員会議
    開始10分前に会議室に行き、他の秘書と共に資料やお茶の準備
    会議中に済ませておいて欲しい業務について、担当役員から仕事の指示をもらう
    この日は出張の準備と宿泊先、飛行機の手配の依頼あり

15:00 会議終了、担当役員に報告
    会議中に掛かってきた電話や、作成済み資料、出張の手配などの報告を行う。

16:00 担当役員が外出(この日、役員は直帰)
    引き受けた残務処理や、資料作成、翌日の準備など

18:00 退社

秘書の現場から

実際に秘書として働いている方の声をまとめました
Q1; やりがいを感じるのはどういう時か?
A1; ・自分が担当している社長・役員などから「ありがとう」と言われた時。
   ・裏方の仕事なので人目には付かないけど、「あなたのお陰で助かった」「頼りにしている」など言われる時はやっぱり嬉しい!
   ・難しい仕事を無事こなせた時。スキルアップ出来たなあと実感する。
   ・後輩秘書のヘルプや後輩指導が上手くいった時

Q2; どうして秘書になろうと思った?/なったのか?
A2; ・配属がたまたま秘書課だった
  ・「秘書」という響きに憧れて応募した
  ・前にいた部署の上司に推薦をしていただいたので
  ・以前は受付を担当していたが、その時の応対や仕事の姿勢を評価いただき、声がかかったから

Q3; 日頃から心がけていることは?
A3; ・ミスをしないこと。ダブルブッキングや無理なスケジュールを組まない。
・先回りして考えること。頼まれそうなことをイメージしておく。
   ・明るく笑顔で接する
   ・身だしなみや言葉遣いなどの基本を疎かにしない
   ・上司の好みを覚えておくようにする